そしてそれから幾日かのことである。
あの、メイが、部屋から出てきたのだ。
「一一え?」
驚いて釘付けになった。
彼女だけじゃない、周りの使用人も、彼女を凝視していた。
メイは周りの視線から逃れるようにルイの後ろに隠れていた。
相変わらず愛らしい容姿が隠れる。
「……」
なぜ出てきたのか。
それはルイの持っているキャリーケースでわかった。
一一出ていくのだ。
あの最奥の姫が。
「……なんで」
追い出すのか、喧嘩したのか、様々な憶測が瞬時に脳内を駆け巡って、ルイの優しい微笑みに理解した。
ルイはまだメイを愛してる。
ならばなぜ、こんなことに。
「メイ、なんでそんなおどおどしてるんだ?」
「…だってご主人様ぁ…ひ、人がたくさん」
「別に取って食おうって奴らじゃ」
「うぇ!?そ、そうなんですか!?」
「だから違うと言ってるだろう…」
そんなメイが可愛くて仕方ないのか、公衆の面前で頭を撫でたりデレデレ笑ったり。
「私の王子様が…」
「…本当に女の子いたんだ…」
嘆くもの、好奇の目で見るもの。
多種多様な反応の中、彼女は和んでいた。
この2人は、絶対に離れてはならないと。
そんな景色見たくない、と。
その考えが、この1人の使用人の運命を変えることになる。



