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屋敷に突如、美少女と美少年がやって来た。
美、とつけるのは彼女の意見だが、たぶん一般からみても美がつく2人であろう。
少女の方は礼儀正しく奥ゆかしい、上品な雰囲気をまとった子。
少年はどこか野性みがある、けれど無邪気で可愛い子。
いきなりやってきた彼らに戸惑った彼女ら使用人に、主であるルイは言った。
『僕以上に丁寧に扱ってくれ』
事実、ルイは少女たちに下手だったし、秘書である野崎も畏れおおさにペースを乱していた。
かなりの大人物なのだろうと推測がついたから、使用人たちはルイ以上に傅いた。
「…あのぉ、こんばんわ?」
屋敷で掃除をしていると、何故か疑問系で話しかけられた。
振り向けば例の美少年だった。
「あ…!な、何の用でございましょう!」
モップを落としかけたがいそいで持ち直す。
パジャマ姿である。
ミルクティーのような髪色がしっとりと濡れていて、その上肌は赤みを帯びていた。
お風呂上りなことは明確である。
黒い目をさ迷わせ、もじもじと恥ずかしそうに指をいじっていた。
何の用か全くわからない。
けれど可愛い、とっても可愛い。
女の加護欲や母性をガンガン引き出してくる。
「あの…ちょっと聞きたいことがあって」
「え?」
「このお屋敷って、使用人とルイさん以外に人っていますか?」
可愛さに悶えてた使用人は、止まった。
この子は絶対にメイのことを聞いてるのだ。
彼女の持ってるメイの情報は、薬を飲ませたことがある程度。
決して多いとは言えない。
けれど、その情報を彼に話していいものか。



