ご主人様に監禁されて



◇◇◇

同時刻、同屋敷内にて。

ここでも愛するものを守りたいと意思を固めるものがいた。


必死に必要なものだけを荷物を詰めているティン。そんな彼を放って、リルは外の様子を見ていた。


彼女が喜んでた梅の花はもう散っていて、代わりに葉が埋め尽くしていた。

よく手入れされた庭を睨むように見る。


「…どうした?なんかいる?なんの気配もないけど」


ティンに言われ、ああ、と言葉を返した。

「いまのところ何も無いです。たぶん、ルイさんは何も知らないんじゃないかという私の意見は合ってるかと思いますよ」

「油断すんなよ、あの人馬鹿じゃない」


ホテルに移動してくれと、ルイに言われた。

そのために荷物をまとめてるのだが。

「移動先のホテルでグサッとかあるかもしんない」

「そんな目立つようなことはしないと思いますよ、ティン」

「と、とにかく!危ないから!」

ボストンバッグから手を離して、リルの元へ。
肩に手を当てて、力説するように。



「離れんなよ!!」



「………ふふっ」

呆然と目をぱちくりして、リルは笑った。