「メイ?」
急に黙ってしまったメイを不審に思い、名前を呼ぶ。
するとメイから予想してない言葉が紡がれた。
「……ご主人様…メイを捨てるのですか?」
「…え?」
驚いて離すと、俯いたままメイは言った。
「メイ、邪魔ですもんね。ばっちいし、仕方ないです」
「ちょ、メイ…なにもそんなことは言ってない…」
リルたちは無価値じゃないと言ってくれた。
しかし、ルイにとってもそうだとは言いきれないだろう。
やっぱり、自分は無価値なのだ。
何も出来ないから捨てられる。
魅力がないから捨てられる。
けど、少しだけ、期待していた。
なんの利用もせずに置いておいてくれた彼に、メイは。
「…で、でもね、ご主人様…」
だからつい、吐露した。
「メイ、話を聞けっ」
「……メイ、ご主人様には捨てられたくなかったよぅ…っ…」
「一一っえ、」
今までとは違う、悲しさだった。
いざ捨てられるとなると、覚悟はしていたが感情が追いつかなかったのだ。
この人には、この人にだけは捨てられたくなかった。
無価値な自分を愛しそうに抱きしめてくれるこの人にだけは。
「……め、メイ…」
一方、ルイは衝撃だった。
メイがこんなふうに自分に向けた感情を吐露したことは無かったからだ。
胸板に顔を埋めながら、悲しそうに言ったメイ。
一一どうしようもなく、愛しく思えた。



