ご主人様に監禁されて

◇◇◇


その日。

逃げるように帰ったリルたちと入れ替わるように、早めに帰宅したルイが部屋に来た。


「おかえりなさいですっ」


いつものように飛びついて歓迎したが、顔色が優れない。

「ただいま、メイ」

力なく笑った後、ルイはメイを抱きしめた。

ぎゅっと、大事なものを守るように。
一気にルイの温もりと香りに包まれて、キョトンとするメイ。

「ご主人様……?」
「…メイ、話がある」

真剣な声音に、肩が強ばった。
なにか良くないことがあったのだ。


「…父が帰ってくる」


「…っ、」

大旦那様こと、ルコーラが。

目を見開いていると、安心させるように強く抱きしめられた。

「大丈夫、僕はお前を手放す気など毛頭ない。…死守してみせる」

「ししゅ?」

「守るってことさ」


抱きしめられてるので、顔が見えない。
けれど笑ってるのは感覚ではわかった。



「だからね、メイ。野崎のところに行ってくれないか?」



「一一え?」

「この家よりも野崎の方が安全だから」

メイにとっての野崎の印象は、ルイの片腕といったところだった。

いつも気遣ってくれる頭のいい人。

会ったことなどないが、ルイがたまに口にする野崎の話はそんな感じだった。
信頼出来る相手だとも言っていた。

だからこそメイを任せようと思ったのだろう。



……けれど。