はじめての友達という存在に、メイは心躍らせていた。
小さかった頃には家族しかいなかったため、新鮮だった。
「えへへ…ありがとう、です」
満面の笑みのメイに手を伸ばして優しく撫でてみた。
「…」
逃げることはない。
だいぶ警戒心が溶けたということか。
ちら、とティンを見て、促した。
変なところで踏み込めないリルは、肝心の質問をティンに託す。
「あー…ね、メイちゃんさ」
どこから切り出したものか、首の裏を掻きながら思案する。
「友達がはじめてって言ってたよね」
「はい、はじめてです!」
「ルイさん…あ、ご主人さまって呼んでるんだっけか。
彼は友達じゃないの?」
きょとんと、しばし固まるメイ。
慌てて付け足した。
「友達じゃないなら恋人とか!」
「……」
「恋人ってわかるかなー?好き合うっていうか、好き同士っていうか……メイちゃん?」
固まったまま,動かなくなった。
呆然とティンを見つめている。
「え?おーい…おーい」
呼びかけて、ようやくハッとした。
「ご、ごめんなさいです…その、考えたことがなかったもの、ですから」
「考えたことがなかった?
結構長い間ここにいるんじゃないんですの?」
聞きに徹していたリルが口を挟んだ。



