ご主人様に監禁されて



酷い扱いを受けてショックを受けてるティンをしばし不思議そうに見つめて。

当初の目的を思い出す。


「り、リルさん…」


人と話す場数が圧倒的に少ないメイは、いつも小声だった。
それを拾おうと耳をすますリル。


「その、いつもありがとうございます…」


モジモジと恥ずかしそうにお礼を言われる。

リルが目を見開いてると、慌てて付け足した。



「昨日、ご主人さまに褒めてもらったんです。勉強頑張っててえらいなって…。リルさんたちの、おかげです…ありがとうございます…」


「あらあら」


つい、笑みになる。
胸の中に満足感と幸福感が満ちて、彼女に触れたくなった。

手を伸ばすが、以前拒否されたことがあったために元に戻す。

(まだ、そこまでじゃないですものね)

ふれるというのは、メイにとってハードルが高い行為らしい。
せっかく縮まった距離を無理して遠くする必要はない。


「嬉しいですわ、そんなふうに言ってもらえて。そう、メイさんの大好きなご主人さまに褒めてもらったんですか」

「…はい」

そのときを思い出したのか、嬉しそうな顔になる。

かわいいかわいいと頬ずりしたくなる子だ。



「えと…それで、何かお礼がしたいんです」



「え?」

「なにがいいか聞こうと思って」

これしきのことでここまで言うとは。