「そうだな、やはりそれがいい。僕はそこに泊まろう…しかしそれでは一緒の部屋に眠ることになってしまう…メイの貞操が「落ち着いてください社長!」
妄想が膨らんできたので慌てて抑えた。
(…ていうか、まだ我慢してるんだ…)
いい加減手を出したものだと思っていた野崎にとって、意外だった。
メイという少女を見たことない野崎だが、きっと社長が一目惚れして溺愛している程だ、きっと美少女なのだろう。
ルイが偏った変な趣味でない限り。
「くっ…しかしいくら危機といってもメイと数日間わかれるのは…」
「…逆にしたらどうです?」
なにやら思案しているので、単純な策を出した。
「逆だと?」
「はい。リル様達をホテルに預けて、メイさんを私のマンションへ。泊まりたい場合も泊まれます。さすがに第三者がいれば我慢が効くでしょう?それに、お父様にも“彼女の家に行く”と言い訳がききますし……」
「だめだ!そんな一般のマンションにメイを…」
「オートロック式ですし大丈夫です!! 」
普通お姫様達の身の方を心配するのだが。
さすが狂っている男だ、と毒吐いた。
「…言っておきますけれど、姫様達を預かれと言われても預かりませんよ?
私も自分の身が可愛いんです、正直言って警備体制を整えなければならない子達を預かるのは怖いです」
「そうか…申し訳ない」
悲しそうな顔をされ、良心がガリガリと傷つけられる。
「だから、その…メイさんならば了承しましょう。社長の溺愛する女の子です、荷は重いのは変わりませんが、一国を背負うよりかは天と地です」
「野崎…」
青い目で、神を見るような目つきをされる。
(子供みたいなとこがあるんだよなぁ…この人)
大事だから繋ぎ止めたいなんて、まさに子供の思考だ。
「メイを、頼む…あの子は僕の全てだ」
「一一!」
なんのためらいもなく言う言葉ではない。
しかも大の責任ある大人が。
そこまで言わせる存在。
(一一ちょうどいい、会ってみたかったし……)
国崎メイ。
弱くて頼りなくて、箱入りというか箱に閉じ込められて育った、ルイのすべて。
楽しみに感じる野崎がいた。



