ご主人様に監禁されて

◇◇◇


昼前の社長室、秘書である野崎の顔が真っ青になった。


「…しょ、正気…で、すか?」


「もちろんだ。お前を信用して頼んでいる」

「私、護身術等を持ち合わせていないのですが…」

「高校の時ソフトボール部だったのだろう?」

「申し訳ありませんが、ソフトボールは格闘技ではないのです…!」

いつも冷静な野崎とは懸け離れた、責任を放り投げる発言だった。

「普通のマンションですよ、社長!」

「だからこそだ、相手も油断する」

「失礼なんじゃ…」

「むしろ喜ぶのではないか?そういうのが好きそうなタチだ」

「…社長は変なところで妥協しますよね。母国のお姫様ですよ…?」



そう、野崎にはルコーラが帰っている間、リルとティンを預かってくれるように頼んだのだ。


仮にも一国の皇女だ、荷が重すぎると野崎は全力で断った。


「そういえば、社長…メイさんはどうなさるおつもりですか?」


「それが悩みどころだ、どこかの警備体制が万全のホテルに預けるとか…」


「………」

まさかの、メイの方が手厚い。

無意識なのだろうが、これは一国の皇女を預かっていて無責任というものだ。