『…もしもし、お電話変わりました』
カサンデュールの言語でそう言えば、向こうも久方ぶりに聞くカサンデュール語で返してきた。
『久しぶりだな、ルイ』
『なんの要件でしょうか』
ドキドキと緊張しながら問えば、向こうは当たり前のように言った。
『知らんとは言わせん一一姫さまのことだ』
メイのことでなくて安心した。
『リル・ドリュール様がそちらにいらっしゃらないか?』
やっぱりな質問をされたので、しらを切ろうと覚悟を決めた。
『いえ…いらっしゃいませんが。ああ、家出なされたんですよね、たしか。しかしなぜ僕のところに』
何にも知らない体でいく。
『嘘言うな、日本にいるところまではわかっているんだ』
確かにそこまでわかってるのならば、頼るものはルイしかいないからルイのもとだろうと推測がつくだろう。
…そう言えば一体いつまでいるつもりなんだろうか、あの二人は。
もうここに居るといって帰そうかとも思ったが、毎朝楽しそうに学校へ向かう二人が可哀想になり一一やっぱりもうしばらくは居させるかと考え直した。