内線を受けて真っ先に気づいたのが彼女だった。


急いで使用人に一錠渡される睡眠薬を手にし、駆けつけて眠らせたのだ――



「錠剤を使ったんだろう?あとで渡そう」


「あ、ありがとうございます!」


ぴたりと、リビングと呼ぶべきか迷うほどの広さの部屋の前で止まる。

「あ…お食事の用意はできてますよ。ああでも、温めなくちゃ食べれないスープ等はまだですが」

「ありがとう。ここの使用人は優秀だ」


昨日は遅かった主は、いつ起きるかわからなかった。

だからサラダなど温めなくても良いものだけを用意しておいたのだ。


リビングに入っていく主を見つめ、メイドの脳裏には彼女が写っていた。



リーンカーングリーンの髪の毛に、ハーフというのが納得の絶世の美しさ。


『…助け、お兄ちゃぁ…』


過呼吸を起こしている少女に薬を飲ませてもいいのか迷ったが、頭をふって口に含ませた。

即効性らしく、くらりと倒れる。


(なんて、綺麗な――)


主が彼女を独占したがる訳がわかった気がした。