あれから。
野崎はメイに本気で謝り、謝り、謝った。
あの両者を気遣った発言があんなことになるとは思いもしてなかったのだ。
馬鹿じゃないメイは、もちろん野崎の気遣いもわかっていたから責めることは一切なかった。
それでもルイにはねちねちねちねち言われるわ心は痛むわで、野崎は何でもするから許してくださいと土下座した。
するとふたりは顔を見合わせ笑いながら条件を出した。
“じゃあメイのお姉さんになってください”
要するにだ。
ヒューアス姓を失ったからといって、元の国崎にすんなり戻れる訳では無い。
母親は完全に親権を放棄しているし、新生国崎として日本で戸籍を発行するしかないのではとリルは提案した。
……のだが。
メイは野崎が大好きだから、どうしてもつながりが欲しいなどといって野崎家に養子に行くことにした。
と言っても野崎には現在母親しかおらず、その母親は野崎に瓜二つでメイを見て萌え死に、養子に迎えることを即決した。
なので現在メイは野崎メイとなっているわけだ。
そんな野崎は日本に残ることにしている。
たったひとりの母親を置いていくわけには行かないからだ。
だから野崎としても、メイやルイと繋がりが持てるこの話はうってつけだったのだ。
「おねえちゃん、メイまだ髪の毛やってないんです〜」
「……はいはい、ちゃんと座って下さいね」
容赦なく甘えてくるメイに顔が緩みきってるのに気づいていない野崎は、メイから串を受け取って丁寧に緑髪を梳る。
うっとりとしだすメイの髪の毛を優しく優しく結い始める野崎。