メイがなにか勘違いをしていたことに気がついたのか、丁寧に東が説明をしてくれる。


「彼は昨日たまたま遊びに来ていただけなんです。こことは別の家に家族と暮らしていますよ。昨晩メイさんが寝てから帰られました。今日は大学で講義があるので来れないそうなので、メイさんによろしくと仰ってましたよ」


「そう…なんですね。メイてっきり一緒に住んでるのかと思ってましたです」

がしゃんっと音がしたので見れば、瑠璃が洗濯ばさみのかごを落としていた。

「瑠璃さま、お気を確かに」

「どう…きょ……歌月と……」

「瑠璃さま現実に戻ってきてください!」

「無理…耐えられない……恥ずかしさで死ぬ……」

「落ち着いて!まだそれはしませんから!!まだですよ!」



どんだけ初なんだ。

無表情で頭を抱えてるから、ちょっとちぐはぐだった。

平和な問題だったので、メイは気にしないで朝食に手をつける。

料理上手な幼女である。

「……あ、メイちゃん。…無理しなくていいから」

「無理…?」

正気に戻ったらしい瑠璃が声をかけてきた。


「朝、あんまり量食べれないんでしょ」


なんでそんな情報を知ってるのかと目を見開く。

「……ああ、リルちゃんと朝電話して……そのあとメールで……」

「で、電話したんですか!?」


そういえば友人なんだったか。

納得していると、瑠璃が洗濯物を持ってベランダへ向かう。


「……うん、あなたの声聞きたがってたから、ご飯食べたら電話かけよう」


洗濯ばさみがこすれる音で消えそうなほど、小さな声だった。