結局、メイを見つけることは出来ずに一晩を迎えた。
あの夢でいう寒気の中に、彼はずっといるわけだ。
総力を挙げて探したが、全く見つかる気配すらない。
警察には連絡したが、果たして見つかるかどうか。
手紙を見せたら、諦めた顔をされたのだ。
『……これは、最悪の事態を覚悟してもらわないとならないかもしれませんね』
不躾にも第三者にも言われ、ため息をついた。
「……」
どうするのが正解だったのだろうか。
きずついたメイに無理にでも寄り添うべきだったのだろうか。
仕事も作業も放って、メイにだけ時間を注ぐべきだったのか。
だってわからなかったんだ。
傷ついていても放ってかれた環境だったから。
母親が死んで泣きたくても、それよりもするべきことがたくさんあって、許されなかった。
「……頼む、だれか……」
誰か、普通を教えてくれ。
誰もくれなかった普通を彼女にだけはあげたかったから。



