そっと立ち上がって、机の上に飾られた写真を持ってくる。
ずいぶんと古い、ピントだってぼけてるその写真。
幼い頃の瑠璃と、もう一人。
金髪の小さい女の子が笑顔で写っていた。
「あ……リルちゃん」
「彼女も同じ悩みを抱えてたの。ここらは今よりずっと田舎だったから、金髪ってだけで避けられててね、私といっしょだった」
そんなこと、一言も言わなかった。
驚愕してると、瑠璃は続けた。
「……辛い時に隣に誰かいるだけで、すごく救われるの。私知ってるから」
また、肩を抱きしめられる。
吸い込まれそうなほど綺麗な瞳に見つめられた。
「だいじょうぶ、メイちゃんは人間じゃない。普通の女の子じゃない一一あなたはあなたが思ってるよりずっと普通だよ」
少しだけ目を伏せて、また口を開いた。
「誕生日がわからなくたって、お友達が少なくったって。
誰も保護者がいなくたって、あなたはここにいるんだから。
からっぽなんて、言わないで。
私が抱きしめてるのは、ちゃんと中身のあるメイちゃんだよ」
そこでようやく気づいた。
彼女は自分の人生で得たものでメイを励ましてるということに。



