「え、だって瑠璃さんは」
「……普通だと思う?」
驚くほど美しい、夜空を切り取ったような瞳。
ムーンストーンを溶かした抜けた色合いの髪の毛。
「あなたはまだいい、その黒がかった緑色は外国では少なくないし、馴染むもの。……でも白髪は……」
運命だろうか、偶然とはとても思えない一一。
この白髪の少女も、普通を焦がれていたのだ。
たしかにコルクボードの中では1人だけ浮き立っている。
ほかは全員黒髪黒目。囲まれていては、さぞ思い悩むだろう。
「ずぅっとこの容姿が嫌で、何回も何回も変わろうとした。
小さい頃は毎日いじめられてたし。
……この子達はこんな私でもいいとか言ってくれてたけど、ひねくれてて性格も悪いわたしは、ずっと一歩踏み出せないでいた。
……どうせ珍しがってるだけだろうって」
抑揚のない、極端に無表情なおもて。
彼女は友達に囲まれてもそれを崩すことのなかった。
それほどまでに自分が嫌いなのだと推測した。
笑うことでさえも、許したくないほど。
「でもそんな下らないことを考えてた私が、ゆっくりと友達ってものを認識するのを、彼女達は待っててくれた」



