「メイ、お兄ちゃん探そうとしてて、うぅ、どうしよう……」
「そうか、メイちゃんはお兄ちゃんのところに行こうとしてたのか」
どう慰めればいいのかわからなくて、ただただ時間が流れた。
いたたまなくなって、洗い物をしはじめた歌月。
ちょうど帰ってきた同居人ふたりを出迎えてから、瑠璃はメイの元に戻った。
買い物袋を抱えた少女2人。小学三年生くらいだろうか。
ひとりはおかっぱ姿で、もうひとりはロングヘア。
そっくりの同じ顔。
夜にこんな小さな子に買い物に行かせて大丈夫なのか、と心配になる。
「東です。こちらは妹の西です」
淡々とおかっぱ姿の方が自己紹介をした。
「あ、えと……国崎メイです、よろしくですっ」
幼気な瞳で見つめられ、ドキドキする。
頬ずりしたくなるような愛らしい双子だった。
「買ってきてくれた?」
にこやかに歌月が聞くと、こくりと買い物袋を差し出した。
ガサガサと開けると、中には1組のパジャマが入っていた。
「今夜泊まるだろう?」
「え、」
「瑠璃のサイズは小さいし、男物着せるわけには行かないし……東西に買ってきてもらったんだ」
「そ、そんなわざわざ」
寝ている間に話し合ってくれたのだ。
なんという用意周到さ。そしてただの邪魔者の自分にここまでしてくれる気遣い。
外は怖い人ばかりだと思っていた。
マザーといいあの家庭教師と言い、外からくる人はみんな怖かった
だからこそ嬉しかった。
この優しさが。



