「メイもお兄ちゃんがいたですよ」
「……いた?」
「今はわからないです。生きてるのかどうかさえ」
過去形に驚いているふたりに、ゆっくりと理由を話す。
「メイ、お母さんに捨てられて……施設にいたんです。そこでとても優しい男の子に出会って……お兄ちゃんって呼んでました。でもメイ旦那様に引き取られちゃって、お兄ちゃんと離れ離れに」
拙いけれど必死に話す彼女に、うんうんと聞く2人。
そして歌月が口を開いた。
「お兄ちゃんに会いたいっていうのはそういうことか……」
「はい!また会いたくって!」
「じゃあ調べてみようか。その施設、名前なんて言うの?」
調べる。そんなことできるのか?
めをまるくしたメイをよそに、彼は自分のリュックらしきものからノートパソコンを取り出した。
野崎が持っているのと同じ形の機器に関心していると、歌月が聞いてきた。
「何ていう施設?」
「蒲公英園です」
「たんぽぽ?……どこかで聞いたことあるな」
パシャパシャと小気味いい音を響かせた歌月は、息を飲んだ。
機器が移した羅列。
あまりに衝撃過ぎて、声を出すのを忘れた。



