「……なんていえばいいんだろ、困っちゃうけど。
…メイが場違いなきがして、勝手に肩身狭くなったんです。
あそこにいたらずっと辛くなるなって、それで」
拙い言葉は、理解出来なかった。
けれど、わかったのは。
「……やっぱり家出か…」
歌月が小さくつぶやいた、それだけだった。
必死に喋る彼女の話をウンウンと真剣に聞いても、やっぱりよくわからなかった。
理解したいのに、苦しんでるのを救ってやりたいのに。
もどかしくてたまらないふたりだったが、メイのお腹がなったので、夕食の残りを振舞った。
「…これ、」
餃子に麻婆豆腐。中華だったらしい。
しかしメイは餃子を久しぶりに見たので、固有名詞を忘れていた。
「えーと、えーと」
「…餃子だよ」
「ああ!餃子ー!」
懐かしい懐かしいと言葉でも食事を楽しむ姿に、やはりふたりは違和感を覚えた。
餃子が懐かしいなんて。何処かに監禁でもされてたみたいだ。
と。
「……ん?」
瑠璃が彼女のワンピースのポケットから、青い布がはみ出してるのに気づいた。
「……それ、なに?」
「あっこれですか?」
ごそごそとまさぐって、丁寧に出してきた。
大きめの青いリボン。
ゴムもついていて、髪を結ぶのに用いるやつだ。
「お友達からもらったんです!メイの宝物です」
自慢げに宣言した。
「…………」
無表情だった瞳が大きく見開かれる。
「それ、」
「リボンです!」
いや知ってるよ、と突っ込む気力もわかなかった。
なぜなら。
「メイちゃん、あなた…リル・ドリュールとお知り合い?」
「ふえ?なんでそれ…もしかして、瑠璃さんもなんですか?」
「…知り合いというか、親友というか……」
妙なところでつながりがあった。
そう、彼女一一白龍瑠璃は、あのリルがしきりに『愛してますよ』とずーっと言っていた相手であった。
時に彼氏に対抗し、ティンを妬かせた相手。
リルが逃亡先に日本を選んだ理由とも言える少女であった。



