「やだな…」
それは、とてつもなくやだ。
嫌すぎて身震いした。
だめだ、いつまでもここにいちゃ。
自分はここに浸ってしまう。
そして捨てられることなく、彼のそばにずぶずぶと浸かってしまう。
「捨てて…お願いですから……」
ぽたりと、涙が頬を伝った。
どうせ叶えられない想いなら、捨てて欲しいのに。
彼のそばで彼が見知らぬ人に笑顔を向けている。
そんな地獄を見せつけられるくらいなら。
美しい彼には自分は似合わないのだ。
最近、彼が大きくなりすぎていた。
合わなければ気持ちは薄れるかと思いきや、記憶の節々に現れては焼き付いていく。
思い出は、むしろ色濃くなっていた。
このままあきらめられるのだろうか。全然そんな気はしない。
「……」
だめだ、このままじゃ。
予定よりも早いが、まあこれくらい問題ではないだろう。
一刻も早く、一ミリでも遠くへ。
そして忘れたい。
死んでもいいから、この想いを。



