◇◇◇
話は二時間前に遡る。
綺麗に焼けて美味しくなって平らげた後の皿を見ながら、じっとメイは考えていた。
“花嫁修業ですか?”
“メイ様は本当にルイ様がお好きですね”
この二言が妙にのしかかってくる。
「……好き、かぁ…… 」
自分はとてもルイのことが好きだとは自覚している。
けれどこの思いは伝えちゃいけないと野崎から言われていた。
「…」
ばっちいから?
それとも、自分は素性のわからない子だから?
どっちでもいい。どっちにしろ自分と彼とでは、身分差があるのだ。無理に決まってる。
そうなると、彼はいつか誰かも知らない人と結婚することになるのか。
自分の目の前で。
「……」
それはたまらないな、と顔を歪めた。
その前に捨ててくれたらいいのに。
しかし彼は捨てないだろう。
優しいから、ずっと手元に置いてくれるだろう。
きたない自分を。ずっと。



