倒れそうになるほどの、その単語。
飲み込むのに勇気が必要だった。
「な、」
「本当です!部屋で勉強すると言って戻って一一屋敷のものが行ったら、書き置きが……」
「……っ」
「申し訳ございません、私の監視が甘かったです!まさか家出をするとは検討もつかず…今近辺を屋敷のものが探してます!」
「……野崎」
低い声に、肩がびくりと跳ねる。
怒られる、目を固く閉じた時だった。
「警察…」
「え?」
「警察に連絡しろ、……自殺の可能性がある」
「そ、そんなっ」
ことはない、と言いたかったが。
彼女は思い詰めたことを微塵も表に出さないことを思い出した。
それでなくともあの事件のあとだ、ずっと辛かったのかもしれない。
「……」
死ぬかもしれない、その言葉に野崎は絶望し、急いで携帯電話を取り出した。
タップし、警察にかけた。
「もしもし、自殺の可能性がある行方不明者の捜索を依頼したいのですが…」
チラリとルイを見る。
ルイは真っ青になりながら真剣な顔で、小さくつぶやいた。
「雨だな」
「……え、」
窓の向こう側では、しとしとと冷たい雨が降っていた。
季節は梅雨に差し掛かっていて、濡れてないといいなと祈った。



