「何分くらいですか?」
「二十分ですね、しばらく待っていてください」
コックに言われ、手持ち無沙汰になったメイ。
「メイさま、しばらくお待ちください。私は夕食の用意をしてきますので」
「あ、手伝います……」
「いいんですよ、力仕事なので」
そう言われ、コックは隣の厨房へ行ってしまった。
あっけなく断られた自主性を慰めようと、高遠が口を開いた。
「それにしても、メイさまはどうして家事を?」
「え?」
「花嫁修業ですか?」
はなよめ?と首をかしげて。
「え!?あ、う、ち!違う!違うです!」
内容を理解した途端、真っ赤になって叫んだ。
「…メイがご主人様のお嫁さん…!?な、なれませんよそんな!」
「メイさま…私は一言もルイ様とは」
「あ…っ」
慌てて口を抑えて、うつむいた。
高遠はつい楽しくて、にんまりとわらってしまう。
「…メイさまは本当にルイ様がお好きなんですね」
「……やめてくださいです」
照れ隠しではない真の拒絶に、ただごとではないことを察した。
なのでこれ以上の言及はやめた。
「……」
「………」
しかし、沈黙には耐えきれなかった。
「う、うまく焼けるといいですね」
「はいっ」
「そしたらひとつルイ様に差し上げてはいかがでしょうか?」
「え?」
「ここ何日も眠っていないようなので、甘いものは疲れを癒すようですよ」
「……」
「マフィンは冷めても美味しいですし、野崎さんに渡してもらったら…」
「……そうですねっ」
パァ、と顔が輝いた。



