しかしその優しさが時に傷となる。
勘違いしそうになるのだ。
自分は自分が思っている以上に、彼に愛されてるのではないかと。
「…ばかみたい」
そんなわけ、ないのだ。
だって彼は1度も『愛してる』と口にしたことがないのだから一一
「……」
優しい彼に捨ててくれ、と願うより。
自ら逃げた方がいい気がしてきた。
「……そうだっ」
ガバッとソファから起き上がる。
せっかく何でもかんでもしてくれる彼がいないのだ、いい機会ではないか。
この日から、メイの『自立して家出しよう運動』が始まった。
その最大の味方は野崎で、最大の敵は野崎だったという。



