野崎が会社にでかけた。
以前と違うことは、玄関まで見送ることができるということだ。
「いってらっしゃいです」
「いってきます」
カッカッとヒールを高鳴らせて手を振る野崎は、いつもかっこいい。
「かっこいいなぁ……」
思わずくちにでるほどに。
「……………………あっ、私としたことが萌で一瞬意識がっ……」
飛んだ野崎だった。
さて、長年抱えてきた父親という不安が解消されたので、メイは自由に動けるようになった。
会社関連の人やその他父の知人がこの屋敷に来て、何か言われては困るからとずっと監禁されてきたメイ。
自由になったと喜んでもいいはずなのに、未だ彼女のテリトリーは自分の部屋と廊下だった。
「メイさま、本日は何をしてお過ごしに?」
高遠の言葉に、昨日と同じ答えで答える。
「え、いつもどおりぼーっとお勉強するです」
「かしこまりました」
てとてとと廊下をあるいて、自室へ戻る。
無駄に広い、白とお花とレースでできた空間。
彼に拾われた当初は、この屋敷のモダンなテーマにあった家具だった。
しかし、少しでもメイの笑顔を見ようと、彼女好みの家具にすべて取替えたのだ。



