『……お前は、私が嫌いだろう』
ああ嫌いだ、嫌いだとも。
どうしようもなく、嫌いだとも。
『…ルイ一一今まで済まなかった』
「っ、」
なぜ、あの時謝罪した父の気持ちを考えなかったのだろうか。
そういえば、父が頭を下げるところを見たことがあっただろうか。
記憶をいくら探しても見つからなくて、ルイはようやく思った。
あれは、本心なのか。
命乞いでも何でもない一一そうだ、彼の命乞いはきっと相手に有利なものを押し付けて、それの代わりに助けろというスタイルだろう。
謝罪なんて彼らしくない。
「……そうか、そうだったのか…」
最初で最後の父親の歩み寄りは、息子の拒絶によって失われた。
父親らしからぬ最後にしてしまった己に、笑うしかない。
「ふ、なんてことだ…」
どうしようもなく、コーヒーの黒さが目に染みた。



