◇◇◇
翌日の昼。
勝手にリルが屋敷に来て、メイに会わせろと言ってきた。
制服姿のところから、学校に行って早退してきたのだろう。
「メイちゃんは今どこで何を?」
「の、野崎と部屋で……」
メイはあれから全然ルイと話してくれない。
野崎にベッタリで、ルイにまるで怯えてるような態度をとるのだ。
「わかりました、部屋ですね」
急くような言い方に戸惑ってると、リルはずんずんと廊下を進んでいく。
「…ちょ、ちょ……」
まだどの部屋かも覚悟も決まってないのだ、そんな先走られても困る。
当然ルイが止めると、ティンがその横をさっと抜けた。
こいつも廊下を勝手に進んでいく。リルを止める訳では無いらしい。
「リル様!」
「急ぎましょう、ティン」
「りょーかい」
もうこのふたりは走っていた。
ルイのことなど完全無視だ。
ルイの抵抗むなしく、ふたりは最奥の部屋の扉を開けた。
「まっ……!」
ルイが急いで追いかける。
きっとメイは怯えてリルを怒らせるだろう。
失礼な態度をとるに決まってる。
ああ謝らねば一一そう覚悟を決め、部屋に入った。
「え……?」
そこは、ちょうど一一メイがリルにとびかかってるところだった。
犬が飼い主にじゃれつくような光景。
驚いて口を開けていると、メイが笑ってることに気づいた。



