ご主人様に監禁されて



「急ですね」

「あれは早いこと裁かれた方がいい」


やけにあっけらかんと父親のことを話すので、野崎はルイに尋ねた。



「……今、どのような心境なのですか?全く察せません」

「心境……ねぇ」


野崎に抱きついたままのメイの頭に触れ、撫ぜる。


「怒り、かな」

「……ほう」

「意外か?」


「いえ、想定内です。…ですが、そうですか、宿敵たる父を倒した達成感とかではなく、まず怒りですか」

「命乞いをしてきたんだ、急に謝罪をしてきた」

「へぇ、見苦しいですね、それは」

「“お前は私が嫌いか”と問われた後に、すまなかったと。そこまでして助かりたいとは、見苦しい」

「……」

ルイは、野崎が不思議そうな目で見てることに気づく。

「なんだ?」

「ああ、いえ。……嫌いかと問われて、なんと答えたのですか?」

「嫌いだと」

「……そうですか」

野崎はメイを取り返すように頭を胸に抱え、むっとしたルイに言い放った。

「…それって、本当に許して欲しかったんじゃないですか?」


「……え?」

「だって、普通聞かないですよ。息子に嫌いか否かなんて。

命乞いなら、助けろって馬鹿みたいに喚くか今までの恩を押し付けるか好条件を叩きつけるか、でしょう?
あの人の性格ならば」

「……」

言う通りだと思った。

ルコーラの性格ならば間違いなくそうする。


「じゃあなんで……」