少し恥ずかしそうに何故かもじもじして。
「嫌ですわ、そんな化物でも見るような目で見ないでください」
「だってこの傷……」
「ちょっとムカついたので花瓶で殴っただけですわ、大したことではありません」
未だ鮮血の滴る傷を大したことではないと言う姫君に、自国の行く末を案じた。
「ところでルイさん、お願いがあるのですが」
「なんですか?」
「そのメイちゃんに会わせては下さいませんか?」
思わず目を見開いたルイに、リルはさほど動じず笑顔で続ける。
「女の子同士です、少しは心の傷を癒せるかも知れません」
「いやしかし……」
「メイちゃんを取って食いませんわ、大丈夫です」
事情を知ってるルコーラが不思議そうな目で見ていたが、リルは目配せすらせずに。
「ほらほら、メイちゃんを救ったのは遠巻きですが私ですよー?ちょっと会うぐらい良いじゃないですか」
ルイとしては、人見知りのメイをリルに合わせるのは嫌だったが。
しかしメイを取り戻せたのはリルのおかげだ。
ルコーラを捕らえてもくれた。
会わせるぐらいは良いのではないのだろうか。
「……わかりました、しかし、会っても失礼な態度をとるかも知れませんが…… 」
「ああ、ティンで慣れてるんで多少のことでは動じませんよ。ありがとうございます」
どういうことだ、とティンは眉を歪めた。



