「……お前は、私が嫌いだろう」
「はい」
「……そうか」
拒絶を聞いて初めて、愛されたかったと思った。
「…ルイ一一今まで済まなかった」
頭を下げた拍子に、額から生暖かい血が垂れた。
ぽたりと絨毯を汚す。
「……」
息子がどんな目で己を見てるのか、検討もつかなかった。
「謝罪なんて、いらない」
生まれて初めて息子にした謝罪は、あっけなく拒絶された。
そして、彼は冷たい声で言い放つ。
「ただ、2度と僕とメイの前に姿を現さないでくれ」
敬語を使う価値もない、とでも言うように、やけにトゲトゲしい言葉だった。
「謝罪をして、許してもらって、庇ってもらおうなんて虫が良すぎる。兄上も僕も、貴様の擁護なんてしない」
「ちがっ……」
「シャリル王女を殺して、メイを傷つけて、リル様を殺そうとして。もういい加減にしてくれ」
「……」
虫を見るような、親を見る目とは思えない目で見られる。
受け取られないどころか拒絶された罪悪感は、行き場をなくした。
息子は、息子でなかった。
「ルイさん、一発ぐらいなら殴っても死にませんよ」
恨みがあるだろうとおずおずと発言したリルだったが、ルイは首を降った。
「いや……クズを殴った手でメイに触れたくないので。
ところでこの額の傷はティンさんが?」
「あ、ちがう、リル」
「え……」
ぎょっとして、思わずリルを見た。



