「あなたは…!最低です……!」
手についている破片をものともせず、彼女はルコーラをビンタする。
ついていた破片がルコーラとリルの皮膚を傷つけた。
「おいリル!どうしたんだよ!?」
「…メイちゃんが、こいつに…襲われたようなんです!さっき電話で…!」
「落ち着け!お前が怪我してどうするっ」
「でもっ!」
「ああもう……やるなら俺がやるから!」
ティンはいつも止めない。
ただ危険なことは、率先して矢面に立つだけである。
「……ごめんなさい」
「どうしたんだよ、お前らしくない」
「だって…」
うつむいて、リルはルコーラを指さす。
「メイちゃんのあの純粋な笑顔を汚したんです、むかつくでしょう?」
「……」
「メイちゃんは今野崎さんとお風呂に入ってるようなんですが、ずっと泣き声が響いてるって……」
「……メイちゃん…」
「自分はどうすればいいのかわからないから、とりあえずこちらに向かうと」
「……そうか」
「本当に死ねばいいと思います」
「どーかん。異論なし」
痛みで震えるルコーラをゴミを見るような目でみて。
「あんまりやり過ぎてもお前が傷つくだけだからな?どうしてもっつーなら俺がやってやる」
「……ありがとうございます」
手のひらから血を流しながら、リルは微笑んだ。



