ご主人様に監禁されて




「ああ愉快ですわ、長年の宿敵をようやく捕まえた」

とても楽しそうに、笑う。

「殺すのですか?」

「まさか、そんなもったいないことしません。殺す以上の苦しみを生涯覚悟してくださいね」

「……」


歪んでいると思った。

いや、歪ませたのは自分かと自嘲した。


「言いたいことはたくさんあります。あなたの生爪を剥ごうかとも思いました。けれど今、最重要項目ができました」


「最重要項目?」


「メイちゃんのことです」


ルコーラの目が見開く。
繋がりがあるなんて考えてもなかったのだ。

「あなたの罪は重いですよ」


微笑みながらそう言って、電話をかける。


「もしもし?ルイさん一一ええ、ルコーラさんは捕まえました。部屋にとらえてあります……え?」


顔色が青くなる。

そして、リルは拳を握って電話で受け答えをした。

「……はい、そうですか。あの、メイちゃんは今………そう、野崎さんと……っ、そうですよね、お察しします」

ぐ、と拳を震わせて。

「わかりました、では待ってます」

がちゃりと切った。


そしてそのまま、受話器の隣の花が生けてある花瓶から花をとる。




そのまま花瓶を手に、問答無用でルコーラの前で振り上げ一一落とす。


ガシャンという音、パリンと割れて砕ける音。


それが無音の部屋でやけに大きく響いた。


ひょっとしたら殺しかねない暴挙に、ティンは目を丸くした。


当然ルコーラも驚く。

あまり力は入れなかったからか気絶はしなかったが、顔は花瓶の水と血で濡れていた。


「り、る様……!?」

「死ねばいい…!」


殺気と感じるほどの憎悪。


とてもじゃないがいつも微笑んでいるリルから出たとは思えない言葉だった。

なぜ殴られたのかわかってないルコーラは、ただただ驚いていた。