部屋では、リルが待ち構えていた。
明かりをつけたので、涙のあとがわかりやすかった。
「ティン、怪我は?」
「あるわけねーだろ」
「ご苦労さま、やっぱりあなたに守られて幸せです」
ふふ、と笑顔を見せたので、心が安らいだ。
「リル、あそこで声あげてくれてありがとう」
「いえいえ……ナイスタイミングでしたでしょう?」
嬉しそうに笑う。
あそこで声を発したから、男達に隙ができた。
「あら、お久しぶりですね、ルコーラ・ヒューアスさん」
「……お久しぶりですね、姫様」
手錠を付けた格好に、くすりと意地悪く笑う。
「無様ですねぇ。どうです、私のティンは」
「男4人が慌てて逃げ出した、素晴らしい護衛ですね」
「そうでしょう。……さ、どうぞ」
天使みたいに笑って、彼女は彼に地べたに座るように命令した。
一瞬顔をしかめたが、銃を構えてるティンもいたことからしたがった。
「そうそう、ご存知ですか?最近の防犯カメラって、すごく性能がいいんですって」
「……なるほど、そう言う算段ですか」
「入口の前とホテルの部屋と。この様子も綺麗に撮れてます」
「……」
野崎に用意させた防犯カメラには、ばっちりルコーラが写っている。
リルが調べた結果、ホテルは廊下には防犯カメラを付けるが、部屋内はプライバシーの問題でつけない。
スウィートルームにはワンフロア丸ごと部屋なため廊下がない。
なので入口と部屋の中に防犯カメラを用意した。
もう逃がさないと、彼女の紅い瞳が物語っていた。



