「一一おいお前」


「ひっ、」

なんの被害にもあってない男が、引きつった声を上げる。

二分もかからず仲間が全員やられたからだ。



「こいつらとお前殺されたくなかったら、こいつら抱えて出てってくんない?」



「え、」


「伸びてるのが部屋にいると邪魔なんだよ」

そんな理由で、彼は1人を無傷で残したのか。

もう1人を人質に使って。


「お前も」


ナイフを沈ませる。


「運ぶの手伝ってやれよ」

「は、はいっ……」

人質じゃない方の男は、鈍器で殴られた仲間を背に抱える。

それを確認してナイフを離せば、アキレスを切られた奴の脇を支えた。


かチャリと音がしたのでギョッとして振り向けば、それは銃を構えていた。

「殺さないって……!」

「ああ、変な気起こさないようにな、保険だよ保険」


銃を向けられ一気に恐怖が増し、逃げるように玄関へ去っていった。



ドアを開けたところにいたルコーラは慌てて逃げていく彼らに驚いて、失敗に終わったことを察した。


「っち、」


使えない奴らだ、と、舌打ちをして己も逃げようとして。