「祐輔、早く行ってよ~。お願いだから」
「行けって、お前はどうすんだよ? もうチャイム鳴るぞ?」
「あたしもメイクしたらすぐ行くから」
「・・・祐輔、佳那、行けって言うんだから行こうよ。ほら」
由依が白けた顔でそう言った。
う、うん。そうね!
そうさせていただきましょう。ぜひとも!
あたしは大急ぎでロッカーにカバンを突っ込み、靴を履き替えた。
そして祐輔と由依と一緒に、いそいそと教室へ向かう。
歩きながらチラッと盗み見ると、大森さんはまだ顔を隠したまま、じーっとしている。
お、大森さん。
あの、ほんとにもうすぐ、チャイム鳴るから。
メイクするならするで、早めに済ませた方がいいと思うけど・・・・・・。
と、あたしは心の中でつぶやいた。
たぶん伝わってはいないと思うけど。一応。
周囲は、どっから出てきたのかというくらい、女子がゴヤゴヤしている。
祐輔が登校すると、ドッと女子生徒が玄関にあふれ出すんだ。
祐輔の行動に合わせて、女の子が移動してるから。
その様子は、さながら渡り鳥の移動か、サケの産卵の川上り。


