「・・・・・・・・・・・・」


「後ろで佳那が待ってるんだから、早くして」


目を丸くしたまま由依を見ていた大森さんの表情が、みるみる変わっていく。


眉をつり上げて由依を睨み付けながら、抗議してきた。


「ちょっと、これってひどくない?」


「だって佳那がロッカー使えないでしょ?」


「先にあたしが使ってたんだよ?」


「扉全開にして? 人に迷惑かける使い方はヤメて。ここは公共のスペースなんだから」


「奥村さんがいることに、気が付かなかったんだもの」


「いま気が付いたでしょ? だったらそこ、どいて」


大森さんの眉の角度が、どんどん鋭角になる。


自分に刃向う由依に対して、ムカッ腹がグツグツ煮え立っているんだろう。


口をポカンと開けていたあたしも、ようやく我に返った。


「あ、あの、由依?」


「佳那、はやくロッカー使いなよ。もうチャイム鳴るよ?」


由依は気にもしないでニコニコしてるけど・・・・・・。


ゆ、由依。ちょっとこれ、マズイかも。