この人、いつまでこうしているつもりだろ?


まさかチャイムが鳴るまで?


・・・・・・ありえる。


で、後ろを振り向いて、初めてあたしに気が付いたフリするんだろうな。


そんで、驚いた顔して謝るの。


『ごめんね。うっかりしてて』


あぁ、そのシーンが目に浮かびます。


はあぁ~っとガックリ、あたしは大きく肩を落とした。


ズーンと気落ちしていると、背後に人の気配がする。


見ると、由依がニコニコしながら立っていた。


「あ、おはよう由依」

「おはよう、佳那」


由依が片手を上げた。


あたしも片手を上げて由依に挨拶しようとしたした、その時・・・・・・


―― バーーーンッ!


と、派手な音を立てて、由依の手が大森さんのロッカーの扉を閉めてしまった。


ものすごい音に、大森さんはビックリして目を丸くしている。


あたしも、思わず両目をパチパチさせてしまった。


ゆ、由依・・・・・・?


「・・・・・・邪魔」


由依が笑顔のままで、大森さんにそう言った。