ぶーっと膨れるあたしのオデコを、祐輔は指でピンッと弾いた。


いてっ。なにすんの、もー!


「今日もやっぱりここに来てたのか」


「当然でしょ? ここは大切な場所だもん」


ここは特別なんだ。


この場所が一番、大樹の存在を感じられる。


大樹にとっても、ここは特別な場所だったに違いない。


ここの空間そのものに、大樹の全てが宿っているんだよ。


だからここに来れば、あたしは大樹に包まれることができるんだ。


「・・・・・・変わらないな。なにも」


祐輔がポツリと言ったその言葉に、あたしは微笑む。


当然でしょ? 変わるわけがないよ。


だってここは、あたしと大樹が永遠の愛を誓った場所。


永遠の庭なんだもの。


変わるわけない。・・・・・・ううん。


「変わっちゃ、いけないんだよ」

「・・・・・・・・・・・・」


祐輔は、何も言わずにあたしの言葉に耳を傾けていた。


中庭をじっと眺めながら。