あたしは、自分の胸元を見下ろす。
そこにはネックレスに通した、ガーネットの指輪が揺れていた。
あの頃、あたしは暗闇の底にいた。
涙を流す以外は呼吸をするだけで、せいいっぱいの日々。
ひと言で表すなら、『絶望』って単語が一番ふさわしいと思う。
闇の中に囚われて、道も、居場所も、自分自身も見失っていた。
生きていながら、生きてはいない。
そんなあたしを救ってくれたのは、大樹の指輪。
指輪の赤い輝きと共に、大樹のあの言葉がよみがえった。
『どんなに離れていても、この指輪が、いつもボクたちを繋いでくれる』
大樹があたしを、絶望のどん底から救い出してくれたんだ。


