大樹の死の直後、あたしは精神的に不安定になってしまった。
すさまじい喪失感に、心が耐えられなかったんだと思う。
声も表情も失い、糸の切れた人形みたいにベッドに横たわるだけの日々。
担任は毎日のように電話や家庭訪問をしてくれた。
友だちもしょっちゅうメッセージを送ってくれたり、時々お見舞いに来てくれたり。
両親にも本当に心配をかけた。
お母さんなんて、いまだに
『あのまま佳那が死んでしまうじゃないかと、本気で心配した』
って思い出しては、涙ぐみながらしみじみと話すし。
祐輔にいたってはもう、どれだけ迷惑かけたか分からない。
病院の付き添いや、食事の介助まで、嫌な顔ひとつしないで世話してくれた。
足を向けて寝られないよ。本当に。
でもそんなドン底のあたしを救ってくれたのは・・・・・・
やっぱり、大樹だった。


