「どうして!? どうして!?」

「佳那! 落ち着け!」

「なんでなの!? どうしてなの!?」


なぜ大樹が死ななければならないの!?


なぜ!? 大樹がなにをしたっていうの!?


なぜ大樹の望んだことは、なにひとつ許されないの!?


青い空を見ることも。


高原の土を踏みしめて歩くことも。


桜の花を見ることも。



・・・・・・恋をすることも!


そして生涯で、ただ一度の誓いを守ることさえも!



なにひとつ許されないまま・・・・・・


許しを求めながら、大樹は逝ってしまった!


「いやだ! 大樹、戻って来てーー!!」

「佳那!」

「いかないで! ここへ戻って来て!!」



すごい力で祐輔に押さえつけられる。


でもあたしは、泣きわめきながら暴れまわった。


心から噴き出す衝動が抑えられない。


それに操られるように、全身が勝手に動いて止められない。


足が、地に落ちた桜の枝を乱暴に蹴散らす。


必死に振り回す腕が、祐輔の顔に当たった。


「佳那! 落ち着け!」

「お願いだから、いかないでー!!」

「佳那!」