「大丈夫か!?」


「大樹くん! しっかりして!」


大樹は、駆けつけた先生たちの手で運ばれていく。


そして遠足に同行していたお母さんの車で、大急ぎで山を下りることになった。


夢中でその車に駆け寄ろうとするあたしの手を、祐輔があわててつかんで止めた。


「おい佳那、お前なにしてんだよ」


「なにって、決まってるじゃん! あたしも一緒に病院に行く!」


「落ち着けって。そんなことできるわけねえだろ?」


そう言われて、あたしはやっと我に返った。


そうだ。あたしには走り去る車を泣きながら見送ることしかできない。


一緒に行くことはできないから。


クラスメイトが心配だからって、学校行事を放り出すなんて許してもらえない。


たとえあたしが、どんなに大樹を好きでも・・・。


情けない顔でボロボロ泣き出したあたしを、祐輔が励ますように言ってくれる。


「大丈夫だ。大樹はきっとすぐにまた元気になるから」


あたしはその言葉に、何度もうなづいた。


そして大樹の血に染まった手で、何度も自分の頬に流れる涙をふき続けた。


「ねぇ祐輔」


「なんだ?」


「大樹がさっき、告白してくれた。あたしを好きだって言ってくれた」


「・・・・・・・・・・・・」


「あたしも告白したの。ずっと大樹が好きだったよって」


祐輔には、隠さずに正直に伝えたかった。


だって祐輔は大切な仲間で、あたしの親友なんだもの。


「お前たちの気持ちには、気付いてたよ」


そう言った祐輔は少しの間沈黙して・・・・・・


「おめでと。よかったな」


って言って、あたしの頭をポンポン撫でてくれた。