大樹の柔らかな髪の毛に、あたしの涙が落ちる。


泣かないでって大樹に言ってるくせに、自分でボロボロ泣いてる。


ずっと好きだった男の子に、好きだと告白された。


生まれて初めて、恋する気持ちが通じ合った幸せ。


でも・・・・・・


大樹の赤い血の色が恐ろしい。


青白い皮膚の色が不安でたまらない。


細い手足が、悲しくてならない。


この暗い感情を打ち消すために、あたしは、幸せな事実だけを繰り返した。


「あたし、大樹のことが好き! 好きだよ!」


大樹の白い指が答えるように、あたしの袖をキュッとつかんだ。


彼の震えは止まらない。彼の涙も。


きっと大樹は、自分の髪に落ちるあたしの涙を感じてる。


そしてきっと、自分を責めているだろう。


あたしの落とす涙が、自分のせいなんだと。


両想いを確信し合った、最高に幸せな瞬間。


あたしたちは・・・・・・


お互いに泣いていた。


抱きしめ合い、赤い血の色に染まりながら。