あたしの手を握るお母さんの手に、力が入る。
「だからね、だから・・・」
そして指が、かすかに震えた。
「だから・・・生きていって、欲しい・・・」
お母さんの両目が、突然、赤くなった。
みるみるうちに涙が浮かぶ。
盛り上がった大きな涙が、重みに耐えきれず、崩れ落ちた。
そしてまたすぐ、涙はあふれ、流れ落ちていく。
「その女の子にね、生きて欲しいの・・・」
心から感謝しているから。
大樹と恋をして、同じ時間を過ごしてくれたことを。
だから。
だから、これからも生きていって。
大樹との出会いが、足かせとなるのでは無く。
ふたりの思い出が、生きる支えとなってくれるように。
苦しみながら生きる命の、慰めとなるように。
どれほど泣こうとも
果てなく苦しもうとも
痛むほどに悲しもうとも
どうか恐れることなく、前を向いて、生きていってくれますように。
どうか・・・・・・どうか・・・・
「わたし、その子に・・・そう願っているのよ・・・」


