みんな、みんな
涙を流して生きている。
思い通りにならない事を、両手いっぱい抱えながら。
なぜ? どうして?
誰にも答えてもらえない、そんな叫びを抱えながら。
見つめるだけの恋をしたり。
自分の心の奥底に怯えたり。
認めたくない現実を前に、途方にくれたり。
かけがえのない、大切な人の命を見送ったり。
そうして泣きながら生きている。
その果てに、大樹は悲しみも苦しみも超えて、去った。
残った者はこれからも、たくさんのものを抱えながら、生きていくだけ。
それだけ。
ただ、それだけ。
あの子だけが、苦しんだわけじゃない。
あの子だけが、泣いたわけじゃない。
だからあの子が、損な人生を送ったわけでもないし。
不幸な、可哀想な命だったわけでもない。
皆と同じように、生まれて、生きて、去っただけ。
「ただ、それだけなのよ」
「・・・・・・・・・・・・」
「ねぇ奥村さん、だから・・・」
「・・・わない、で」
「・・・・・・え?」
「それだけ、なんて言わないで!」


