祐輔は大樹の言う通り、本当に大樹のことを気にかけているようで。
クラスが違うのにちょくちょく顔を出す。
スラッと背の高いイケメンで、頭もいい祐輔は、当然ながら女子の人気度が極めて高い。
女の子たちは祐輔が来るたび、頬を染めて遠巻きにチラチラ眺めてる。
「きゃ、今日も来てるよ」
「やっぱりカッコイイよね。すごいイケメン」
「わーん、あたし今日のヘアスタイル、うまく決まってないのにぃ」
でも祐輔は、そんな女の子の憧れの視線なんかぜーんぜん、おかまいなし。
「よおクリネックス! ちゃんと大樹の世話してるか!?」
有名ティッシュブランド名で、いかにも親しそうにあたしに呼びかけてくる。
・・・あの、すいません。
なんか、女子の視線がピリピリ刺さって痛いんですが。
やめてくれ。入学早々、あたしは敵を作りたくないんだよ。
知らないでしょ? 女ってね、怒らせるとその後が、ひじょーにメンドくさいんだから。
「・・・・・・あたしの名前は佳那よ」
「おお、頼りにしてるぞネピア!」
「だれがネピアよ! 佳那だってば!」
ほんっとにもー! 顔は良いけど性格悪いな、こいつは!
・・・でもまぁ、大樹も楽しそうに笑ってるから特別に許してやるか! ふん!


