「放して!」

「佳那!?」

「あたしは、変わらない!」



祐輔の腕から逃れようと、全力で暴れた。


あたしに触れてはだめ!


あたしの指も、唇も、あたしのなにもかも!


それは全部、大樹だけのものなんだから!



「あたしは大樹を裏切らない!」



誓いを破って、裏切るくらいなら・・・


あたしは、永遠に孤独のままでいい。


誰にも触れさせず、誰のことも見ず。


このまま大樹にだけ全てを捧げ、ずっと大樹と共に生きるんだ!



「あたし、永遠に変わらないんだ!」



あたしは身を捩って、なんとか祐輔から離れた。


そして廊下へと走り出す。


あたしの名前を呼ぶ、祐輔の声が追ってくる。


耳をふさぎながら、全力で走って逃げた。



来ないで! あたしにもう二度と触れないで!


あたしの時間を、動かそうとしないで!


あたしを変えようとしないで!



このまま祐輔のそばにいたら、あたし・・・あたし・・・


あたしの時間は、動き出してしまう!


そんなわけには、いかないの!


一生あたしは、大樹以外の人を、好きになってはいけないんだから!


それは、裏切りなんだから!