さまざまな光景がフラッシュバックする。


大樹と初めて出会った、あの笑顔。


ふたりが交わした、小鳥のように幼いキス。


身を寄せ合って、触れた指先。



『佳那・・・・・・』


赤い、指輪。



『佳那・・・・・・』


赤い、血。



『佳那・・・・・・』


赤く、染まっていく。



大樹の笑顔が真っ赤に染まる。


そして彼が・・・・・・泣く。



『佳那・・・好きだよ』



そうだ。

涙を流して、訴えている。


血を流し続け、死の恐怖に怯え。



救いを求めるように

血に染まった指で

あたしの袖を、必死に



必死に・・・・・・



あんなに必死に、つかんで!



『佳那、永遠の愛を誓うよ』



・・・・・・大樹っ!!



あたしは、思い切り祐輔の体を押し返していた。