グズグスしていられない。
今日だ。今日、言おう。
固くそう心に決めながらあたしは教室へ戻った。
教室の扉を開けると、その音にみんながこっちを振り向く。
・・・ただひとり、祐輔を除いて。
「おお、奥村。悪かったな。ありがとう」
先生にそう声をかけられ、あたしは素知らぬふりで席に着く。
みんなもすぐに前を向いた。
でも由依だけはあたしの方を見ている。
あたしの様子がおかしいのに敏感に気付いたんだろう。
不安そうな、心配そうな目をしている。
由依、あたしもう決めた。
祐輔に言うよ。言わなきゃならないんだよ。
強張った表情で、睨むようにあたしは黒板を見ていた。
内容なんてちっとも頭に入っていないけれど。
背筋を伸ばしたまま、授業時間が過ぎるのを待つ。
そして授業時間が終了し、チャイムが鳴り響いた。
先生への礼のあと、あたしはすかさず祐輔の席へと移動する。
祐輔はあたしが席の隣に立っても、あたしを見ようとしなかった。
その横顔を見てズキリと胸が痛む。


