「佳那・・・佳那・・・」
祐輔の声が、どんどん熱を帯びてきた。
唇が繰り返し髪に触れるたび、あたしの背筋が痺れる。
心臓は激しく鳴り続けていた。
祐輔の腕に、その動きが伝わりそうなほど。
暗闇の中で、視覚以外のすべての感覚が鋭敏になって、飲み込まれそうになる。
・・・・・・だめだ。
こんなの、だめだ。いけない。
あたしはギクシャクと手を動かして、祐輔の腕をつかんだ。
そして、小刻みに首を横に振る。
「だめなんだよ、祐輔。この腕を離して」
祐輔の腕の力が、さらに強まった。
あたしの拒絶の意思表示に抵抗するように。
あたしはプルプルと首を横に振り続ける。
だめだよ。こんなのは、だめだ。
だってあたしは大樹に永遠の愛を誓ったんだから。
祐輔と、こんな・・・・・・
ううん。
祐輔だけじゃなくて。
あたしはもう世界中の誰とも、こんなことをしちゃいけないんだよ。
誓ったんだから。
誓ったんだから。
だから・・・こんなのは、大樹への裏切りだ。


